Animal Loversペットと暮らす著名人

Date 2021.09.01

WAN FILE 03 Mr.Hideki "MIKE" Kawaguchi

3匹の犬と7歳の娘。悲しみを乗り越えて幸せを感じる家族

川口 "マイク" 秀輝さん

銀座で高級時計やジュエリーを扱う会社を経営する川口さん。
平日はビジネス。休日はパパ。理想の生活ともいえるその暮らしをのぞいてみよう。

「結婚する前からお互いにずっと犬と暮らしていました。」

無骨な時計を身につけ、アメリカ西海岸で見かけそうなおしゃれな着こなしで大きな扉を開けて迎え入れてくれた。

「どうぞどうぞ入って」

一見いかついその見た目とは異なり、軽やかなに招き入れる姿は男心をくすぐるかっこよさだ。

わんちゃんと娘さんが楽しそうにする声が聞こえてくる。玄関をあがり、中2階のリビングは天井が高く、大きな窓から木々の揺らぎを感じる音ともに、柔らかい風が流れている。

大きく深く腰掛けられるソファーに座ると、ぬいぐるみのように大きくモフモフしたわんちゃんがマイクさんにじゃれて来た。

それを真似するように小さなわんちゃんたちもソファーに集まり、娘のみーちゃんも「パパ今から何するの?」と隣に腰掛けた。「犬のインタビューだよ」娘に向ける眼差しはとても優しく、自然な会話が心地よかった。
 

「犬とはずっと暮らしていました。 結婚前から妻もお互い犬と暮らしていて無くてはならない存在なんです。」


国内外問わず、セレブやアーティストから注文が入るほど忙しい高級時計やジュエリーを扱う会社を経営し、平日はやり手と言われる経営者のマイクさんも、週末は家族との時間を最大限に過ごす。

川口家のカーストでは、マイクさんが最下層でわんちゃんたちの方が身分が上だそうだ。「パパ!あれやって!これやって!」奥様にも娘さんにも常に頼られている。

平日はビジネスマン、休日はパパ全開で家族と過ごす。

「1人で暮らしていた時に一緒にいた犬を実家に預けてしまったんです。」

アメリカと銀座にお店を構え、煌びやかに男が一度は憧れるライフスタイルのマイクさん。

「時計屋になりたかった訳じゃないんです。アメリカにいた時に日本の先輩や友達から、まだ日本になかった商品の購入をお願いされただけなんです。」


今では当たり前に購入できる海外ブランドが、未だ日本に進出していなかったり、アメリカでしか買えない限定品などを依頼されることが増えた。

「先輩たちの要望に必死に応えていただけで、紹介が紹介を呼び、その先でお客様が増えていきました。だからいつの間にか時計屋になっていました。」

全力で駆け抜けたことで得た絶大な信頼が、今の会社の姿を表しているのだろう。

「まだ結婚する前にも犬と暮らしていましたが、忙しさを理由に実家で預かってもらうことが増えました。簡単に迎え入れることは出来るけど、育て上げるという責任は果たせなくて、本当に申し訳ないことをしたと思います。」


ご実家で家族と共に過ごしたわんちゃん自身は、不幸だった訳でないだろうが、迎えた責任として命の責任を学んだそうだ。
 

「娘と一緒に育てることで、命の大切さや心を豊かにしてもらいたいです。」

インタビューに応えるマイクさんを見守りながら、静かに涙する姿が目に入った。

これまで共に家族を守ってきた奥様だ。

「妻が結婚当時から連れていたトイプードルが癌になってしまい、闘病して1年後15歳で亡くなってしまいました。その悲しみがあまりにも大きくて妻の心にポッカリ穴があいたままでした。」

犬の寿命を考えると、必ずその時を迎えることは誰もがわかっていることだが、15年も連れ添った家族の旅立ちは、その家族にしか感じられない悲しみがある。

みんなでしっかりと受け止めているつもりでも、ふとした時に大波のようにやってくる。それは時間と共に忘れられることではないはず。


そんな奥様の悲しみを娘さんと共に感じていたある日、
「ママに内緒で犬を見に行こう。シュナウザーのキキを妻の元に連れて帰ると、泣きながら喜んでいたので、”犬のいる生活っていいな”と思いました。」

家庭は明るくなり、娘さんの共にわんちゃんたちも成長する中で、マイクさんは心も育って欲しいという。

平日は奥様と娘さんがお世話して、週末はみんなで公園に行ったり、東京都でも世田谷は自然が豊かにあり、同じようにわんちゃんと暮らす家族と仲良くなるなど、人の繋がりも増えるそうだ。


「小さい頃から生き物を面倒見るってすごく大事で、トイレを替えたりご飯を与えたりしますけど、優しさ、人として大切なことは犬たちが教えてくれています。」

どんなに友達が増えたとしても、共に暮らす家族から、そしてわんちゃんたちから学ぶことは絶大だ。
 

「いかなる理由があっても犬を捨てることはあってはならない。」


「先住犬が亡くなった時、娘はまだ3〜4歳で死というものを理解は出来なかったと思うけど、感じるものがあったはずです。彼女が大人になっても忘れて欲しくない気持ちですし、最後まで看取る責任も学んで欲しいです。」

言葉が通じない相手と心を通わせるためには、一方的な気持ちで動くのではなく、様子をよく見て、触れ合って、遊んで、少しずつ感じられるようになっていくのだろう。

まだ幼いわんちゃんには、オムツを気にし、食べ盛りのわんちゃんには、ご飯の時間や量を気にして、いつもどんな時も無邪気に向き合う姿から、マイクさんたち両親も気づくことがあるのではないだろうか。


「ずっと犬がいる生活を送っていたので、いつでも犬を迎えられる心境、状況ではありましたが、大型犬には物足りなかったので、住環境を変えました。」
 

あくまでも、わんちゃんたちに生活スタイルを合わせてもらっていると仰るマイクさんですが、娘さんと3匹のわんちゃんを育てることを中心に、奥様と試行錯誤されているように見えた。

「犬のために引越すの?」と思う方もおられるかもしれない。

しかし川口家では、家族として存在するわんちゃんたちを、私たち人間と全く目線で向き合っている。

そうでなければ、自然体でありながら、これほどまで真っ直ぐに想うことは出来ないのではないだろうか。


社会でも「ペット→家族」という価値観へと変化する時代において、お手本とも言えるこの姿には、明るい未来しか感じられなかった。

PROFILE

Mr.Hideki "MIKE" Kawaguchi

川口 "マイク" 秀輝さん

Mr.Hideki "MIKE" Kawaguchi
TRAX TOKYO | 銀座

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Pet Salon / PINK BEACH

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