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Date 2021.09.20
WAN FILE 02 Ms.Nao Omura
日本を代表して世界を回る女性サーファーと共に波に乗る暮らし
大村奈央さん
湘南で暮らす大村さん。プロデビューからチャンピオンとなり、舞台を海外に移した彼女のアスリート人生と家族で楽しむ波乗りライフをのぞいてみよう。
「家族でハワイ旅行に行って初めてサーフィンを体験しました。 あの時の感動から今の私がずっといます。」
オリンピックで大きな話題となったサーフィン。世界一を競う舞台で日本人が活躍したことで誰もが憧れるスポーツになったのではないだろうか。
正式競技に選ばれる以前、サーフィンは趣味や遊びという社会認識が広かった頃から大村さんは、世界を転戦していた。
サーフガールを連想すると、波に乗り風になびく長い髪を連想する方も少なくないだろう。
小麦に焼けた肌と真っ直ぐとこちらに向く綺麗な瞳、常に笑顔で周りをまろやかにする雰囲気に魅了される人が多いように感じた。
波に乗るために世界を旅した大村さんが初めてサーフィンに出会ったのは11歳で、家族と共にハワイ旅行をした時。
「母が存分に買い物するために現地のスクールに預けられた?ようで、なんとなく行ってみた感じだったのですが、楽しすぎて一瞬で大好きになりました。エンジンもモーターも無いのにサーっと進む感覚。とても不思議でした。」
常夏の島ハワイ、日々家事育児を頑張る世のお母様たちには天国のような島なのだろう。
海も綺麗で街の人もあたたかい。日本での日常から解放されたら各々が過ごしたい自由な時間は必要だ。
子供を安心して託し新しい体験をする最中、気兼ねなくショッピングできるのはこの島くらいなのではないだろうか。
初めて波に乗った感覚、感動を今でも覚えているように楽しそうに話すリズムが心地いい。
「家族にサーファーがいないので、日本に帰ってからすぐにサーフィンする出来る方法を聞き回りました。大会にも出て負けたら悔しい、勝ったらとっても嬉しい。放課後のサーフィンが楽しくてどんどん夢中になりました。」
それから2年後には世界選手権の日本代表に選出され、13年連続で日本人として世界で戦った。アマチュア時代から数々の大会を制し、サーフィンに夢中な人で大村さんの名前を知らない人はいないのではないだろうか。
ハワイから7年後には、プロデビューしその年の年間チャンピオンにも輝き、世界最高峰プロツアーに参戦することを目指し、16歳から本格的に世界中を旅した。
「鵠沼の夕焼けがどの国よりも素敵。 富士山に沈むあの夕日がすごく好きです。」
「長期間海外にいたので、帰国した時にはベルがいました。先住犬と仲良くしていて私が迎え入れてもらった感じです。遊びの天才で私たち家族の遊び方も増えました。」
大きくふさふさしたゴールデンレトリバーのベルは元気に溢れ、相棒のサニーと大村さんの3人で時間さえあれば海に入るそうだ。
オーダーメイドのウエットスーツに身を包み、物凄いスピードで海に飛び込む2匹、大きなボードを持って追いかけるように大村さんも海に入るが、水中に入ればボードに乗り込みたくて懸命に泳ぐ姿を見ると波に乗る楽しさをしっかりと理解していることが伝わった。
「先代の犬が亡くなってからベルがとても寂しそうで、サニーを迎えることにしました。仲良く過ごしているしリリー(先代)のウエットを受け継いでサーフィンが好きになってくれて嬉しいです。」
3人で何度も何度も波乗り、周りにいたサーファーたちからも笑顔が見えた。
「サーフィンしていない人にもサーフィン人生を通してこの楽しさを伝えていきたい。」
大村さんが人々に語らずとも彼らと共に波に乗る姿を見れば、誰でも挑戦してみたくなるのではないだろうか。
競技選手として、日本を牽引してきた彼女がわんちゃん達と遊ぶ時間は癒しでもあり、見る人を楽しませるどこかエンターテイメントのようにも見えてしまった。
動物と人間との遊び方は無限にあるが、1つの道具で全く同じ感覚をシェアできる遊び方は中々ないように思う。大村さんがハワイで感じた感動を地元鵠沼でベルとサニーにも感じてもらい、それを見守る周りも微笑ましくなる。
暮らしの中で幸せを第三者にも届けられるスポーツとしても、その魅力を存分に表現できているのではないだろうか。
時間を忘れて遊んでいるとあっという間に夕焼けの時間になり、ここからの景色に癒されるのだろう。
「悩みや成長に繋がるけど、落ち込むこともあります。 それを察して寄り添ってくれる2匹は本当に兄弟みたいです。」
大村さんが海外の試合に参加するのは、日本代表としてチームで行く時だけではない。
世界ツアーに参戦し、ランキングを上げるためには初めての国に1人で行くことも頻繁にあるそうだ。
言葉も習慣も文化も違う異国の地へ女性単身で向かうことは本人だけでなくご家族も不安があったはず。
それでも勇敢に旅を終え帰国すると、
「笑顔でいつもの家族が迎えてくれます。ベルとサニーは飛びついてすごい喜んでくれたり、寝てることもあるけど、それがいつもの私の家です。」
家族の存在は誰にとっても大きなものだ。
旅をするとどんな状況でも生き抜く姿勢や術が備わっていき、サーフィンを通じて人間力も育っていくのだろう。
学生への講演で、たくさんの経験を小中学校など、将来の夢を考える子供達にこれまでの経験を伝える機会もあるそうだ。
時代に先駆けて道を切り開いた彼女は、
「大きな悩みを持った子がいたら”全然大丈夫だよ!”って伝えてあげたい。自身だけに目を向けると辛いと思うけど、世界には本当に色んな人がいるし、色んなことが起きている。きっと大丈夫って思ってやってきたから、どんなことがあってもなんとかなると思うんです。」
常に前向きな大村さんにも寂しさや悩みが湧くことがあるそうだが、いつもベルとサニーが彼女を支えている。
「どうしようか、何がベストか、なんとなく問いかけてみるけどもちろん答えが返ってきません。でも「ん?何?」って感じでキョトンとした顔を見ると”まぁいっか”って悩みが消えてしまうこともあるんです。」
言葉が通じないからこそのアクションなのかもしれないが、きっと大村さんが悩んでいることは感じるのではないだろうか。
心を通わせられる関係において、むしろ言葉はいらないのかもしれない。
だからこそわんちゃんたちの態度に和まされたり、心地よさを感じて兄弟のような存在であると大村さんが感じているように見えた。
親と子ではない、もっと友達のような、感じあって同じ歩幅で時にグッと成長させてくれる。子供のように無限の愛を注ぐとは少し異なった家族の姿を教えられた。
「犬がいるから大きく変化したこともないし、これといって具体的な目標もないんです。 楽しく過ごせることに幸せを感じられるから、変わらずに遊んでいきたいです。」
朝日とともに動き出し練習に勤しむ時間、家でわんちゃん達とリラックスする時間、試合に出たり、メディアの取材対応が重なることもある。
日本サーフィン連盟の理事会に初めての女性理事として選出されるなど、選手として結果を出してきた結果、これからも多忙な日々を過ごす大村さんにとってベルとサニーの存在は大きいようだ。
「ベルとサニーとするサーフィンは心が休まる。いい波悪い波なんて気にしないし、純粋にいっぱい波に乗ろうねって。私が上手くなろうとする練習の時とは違って、2人とサーフィンている時は、とにかく楽しんでもらうことを考えます。」
大村さんがハワイで感じた楽しい気持ちを2匹にも感じて欲しいと1年中海にいく。雪が降った時にもリードを離せば一目散に海へ入ってしまうほど、ベルもサニーも海が大好きだ。
世界のどんな海でも、サーフィンする大村さんのように2匹のわんちゃんも全力で楽しんでいる。波に乗る行為は魚にも、鳥にも、イルカや鯨にもみられるようだ。
地球というフィールドで人間という枠に囚われず愛される波乗りが、大村さん達家族のように暮らしを豊かにするのであれば、どんな人にも勧めるべきスポーツだ。
あるがままに人生を、時間を過ごす姿には自然体で生きていくお手本を見せられたように感じた。
時に恐怖を感じる海だからこそ、確かな知識と確固たる経験をもつ大村さんとその楽しみ方を存分に体現するベルとサニーの3人で広めていくに違いないだろう。
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Ms.Nao Omura
大村奈央さん
Ms.Nao Omura
プロサーファー | 鵠沼